中学時代

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「…西宮、……俺さ、お前に言わなきゃいけないことがあんだ」 そこで途切れた光哉の声、言葉 そして再び開かれる口。 「……俺、その、お前のことが……好きだ。」 やっと絞り出して雨音に消えてしまうような弱い声。 恥ずかしいのか、気まずいのか、決して上にあげず絡まることのない目線。 でもその言葉で光哉の思いが伝わってくる。 光哉の話には予想がついていたが、亜希は光哉が好きとは言えずにいた。 この告白にいい返事はできない。話を聞く前から決めていたこと。 ―ごめんなさい そう口にしようとした。 そのとき 「亜希も俺のこと好きだろ」 本心とは全く反対の言葉。 「…ぇ?」 「だから俺ら今日から付き合おうな」 一瞬止まる思考。 光哉の言葉を理解して、今の状況も理解する。 「待ってよ、あたしは付き合う何て言ってない!!」 必死に否定するが、光哉には届くわけがない。 「照れんなよ、まぁとりあえず今日からよろしくな♪」 「ちょっとッ!!」 亜希の呼びかけもむなしくそう言い残し、光哉は自分だけの視点でことを進め、亜希の意見も聞かずに去っていった。
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