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亜希の怒鳴り声は大抵昼休みに、毎回佳穂が聞き手になった状態で張り上がっていた。
そしてその怒鳴り声の対象は100%が光哉に対しての不満。
もうクラスの人達も、亜希が怒鳴り声を張り上げても視線を注ぐこともなくなった。
代わりに、
「毎日大変だね」
「無理はしないで頑張ってね?」「話なら聞くから」
と言う言葉をかけられるようにもなっていた。
この間のデート事件もそうだが、光哉は相変わらず亜希の話は聞かずにいるようで、
あげくの果てには、
亜希の自由をほとんど奪っているようだった。
亜希は活動的で、
責任感があったためか、
光哉と付き合う前からクラスの女子委員長を務めていた。
亜希が女子委員長ということは、男子にも委員長いた。
仕事上話し合いや打ち合わせが必要になるため、どうしても話さなければならなかった。
それを見て光哉は、
「お前さ、なんで他の男と話してんだよ」
と突っ掛かってきていた。
「委員会の打ち合わせだったからしょうがないでしょ?」
と亜希が答えると、
「どうせ委員会とか言いながらあいつのこと好きなんだろ」
とか、
「あいつとできてんだろ」
などと疑われた。
いくら話して聞かせても、
光哉は信じなかった。
だから男子とも話せなくなった。
光哉はゆっくりと、
しかしはっきりと亜希の自由を減らしていた。
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