幻想入り

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そんな状況はさらに龍也を混乱させ、何を考えるべきかもわからなくなっていた。しかし 「・・・・ぅや!龍也ー!しっかりしろ!何があった!」 「おや・・・・じ?」 声のした方に目をやるとこちらに駆けてくる真太郎の姿があった。 助かった、と思う気持ちをよそに、父親も巻き込んでしまうのではないかという一抹の不安がよぎる。 「親父!くるな!吸い込まれるぞ!」 「ん?なんのことだ?」 必死に御社の手摺りにしがみついている本人をよそに、平然と龍也の目の前に立つ真太郎。 「龍也、お前なにやってるんだ?」 「!この嵐みたいな風に気付かないのかよ!?」 「?何を言ってる、風なんて吹いてないぞ?」 「っは?」 そう、もうそれは仮定から確信に変わった。 龍也のみにこの風は襲っているのだと。
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