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木々のざわめき、草花のささやき。
緑茂ゆる丘の上に、珍しい紫色をした桜が咲いていた。
それは周辺を囲むように生え、地面は深緑の芝生で覆われている。そこには太陽の光を受けて輝く草花が、自然の美しさを表現していた。
そんな場所の中央に
『少年』は倒れていた。
『少年』こと『龍也』は気を失ったようすで仰向けに倒れている。
それは晴天が広がる青空の下で眠っているようにも見えた。おそらく今は昼時だろう、さながら昼寝と言ったところか。
周りには人の気すらなく、ただそこにある様(さま)は、優雅に咲く紫色の美しい桜には不釣り合いにさえ感じてしまう。
彼は眠ったまま時間が経ち、しばらくすると誰かがこの地に足を踏み入れ、入ってきた。いや、正確には上空から、誰かが舞い降りた。
それは女性で、龍也の存在に気付く。
「あら、先客が居たのね。・・・・眠っているのかしら?」
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