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その異様さと恐ろしさに思わず悲鳴をあげてしまう。
「ひぃ!なんだあれ!」
「静かに!っち、面倒くさいわね!」
龍也の悲鳴が合図となってしまったのか、二匹の猛獣は獲物を狙う目でにこちらに走ってきた。
幽香は傘をたたみ、真っ先に突っ込んできた二つの頭を持つ狼を軽く傘で殴り飛ばす。
その飛ばされた狼はもう片方の二足歩行の狼にあたり、二匹とも倒れる。
「私に喧嘩を売るなんて命しらずの妖獣(ようじゅう)ね」
「妖獣?」
「獣が妖怪になった姿のことよ、来るわ、気をつけなさい」
先程倒れた狼の二匹はムクリと起き上がり、怒った様子で先程より速く疾走し、こちらに襲ってくる。
「もう『そろそろ』かしら、時間がないし面倒だから終わらすわよ」
そう言った後、幽香はどこからともなく『札』を取り出し、その札を持つ右手を敵にかざす、すると札は淡い光を放ち初めた。
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