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「…ヤバ~。ちょっと加減できなかった~」
人影はそう言いゴーグルを外す。
…そこにはまだ幼さを残した少女がいた。
艶やかな黒髪を短く切っていて割とボーイッシュな感じだ。
少女は慌てて先程自分で倒した男に駆け寄る。そこには邪気はない。
「…もしもし?大丈夫ですか?」
さっきの雰囲気とはまるで違う態度で男を覗き込む少女。
まるで学校のガラスを割ってしまったような感覚だ。
少女は男の脈・心拍数、そして何より呼吸があるかを調べ、そして落胆の表情を見せた。
「…まずい。このままだと死ぬわ」
少女は携帯を取り出すと急いで電話する。
「…あ、クリフ?私。うん、そう確かに確保出来たけど。ちょっと加減を間違えちゃって犯人死にそうなの。だから急いで救護班を回して。うん、分かった。場所は…」
電話した後、私は道の隅っこに座って待っていた。
…暫くすると車のアクセル音がし、車が私の手前で止まる。
ライトが少々眩しかったが運転席で手を振っているクリフに気付き、急いで車に乗り込む。
私が乗り込んだのを確認すると車は走り出す。
私は座席にもたれてリラックスする。
「…ご苦労。相変わらずのファインプレーで」
運転席のクリフが話しかけてくる。
「まぁね!警察も運が良いわよ?何せ今まで尻尾も掴めなかった連続殺人鬼を自分達が捕まえた事に出来るんだから」
「…そうだな。嬉しくて涙が出るな」
「…ねぇクリフ?何で怒ってんの?」
私はそれなりに可愛く聞いてみたつもりだがクリフは何も言ってくれない。
長い沈黙に耐えかねたのは私だった。
「ごめん、犯人殺しそうになって…」
その言葉を聞いた途端クリフが笑い出す。私は気になって聞いてみる。
「何よ?何が可笑しいの?」
「いや、お前のそういう素直なところは可愛いなと思ってな」
その言葉に私は恥ずかしさが込み上げてきて、赤くなりながらも拳を握る。
「…ぶっとばすわよ?」
その言葉にクリフは脅えもせずに
「そういうところは可愛くない」
等と言ってくる。こっちはもう言い争う気は失せてしまい、黙って座席に持たれかかる。
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