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「どうかな、梨子ちゃん?ナツキちゃんの顔は可愛いから、あえてcoolな女性をイメージしてカットしてみたんだけど…。」
ぼくの後ろから、店長が自信満々に梨子に尋ねた。
おいおい、ぼくの顔が可愛いとか、女性の髪型とか、ぼくの坊主発言に対するホスト店長なりの復讐なんだろうけど、全然笑えない冗談だ。
だが、梨子はそんな店長の冗談すら耳に入らないほどテンパっているようだ。
一体どうしたっていうんだ梨子?
とりあえずぼくは、梨子を置いといて、先にお会計を済ませようと、ホスト店長に尋ねた。
「お代?いいよいいよ、今回はナツキちゃんの要望には応えられなかったわけだし。それに、こんなに綺麗な髪をカットさせてもらったんだから、むしろこっちがお金を払いたいくらいだよ。」
なんだか知らないけど、タダになった…ラッキー♪
ぼくは、ぺこりと頭を下げると、梨子と共に店を後にした。
「いや~、一時は坊主にするって言われて焦ったけど、本当に綺麗な髪の娘だったな。」
ナツキ達が店を出た後ホスト店長は梨子の髪をカットしていた女性店員に話しかけていた。
「最近の女の子は髪のケアを疎かにしている子が多いけど、ああいう娘もまだいるんだね。」
「店長…。」
女性店員はまるで狐に摘まれたような顔で店長に向き直った。
「ん?どうした?」
「梨子ちゃんの話だとあの娘、男の子らしいですよ…。」
「……嘘ん!?」
ホスト店長の声は店中に、こだました。
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