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そもそも事の発端は数日前の下校中にさかのぼる。
「ねえ、みんなは今年の小座町七夕祭りに着て行く浴衣はもう決めた?」
モモは町内掲示板に張られた小座町七夕祭りのポスターを見つけると何かを思い出したように尋ねた。
「いや、まだだけど…。みんなは?」
「私も新調しないといけないんだけど…、まだなのよね。」
「私もまだです…。一瀬さんは…?」
「……。」
叉夜ちゃんは首を横に振った。
「そうなんだ。じつわね、昨日、モモの浴衣を毎年仕立ててくれる人と今年の浴衣について打ち合わせをしてたんだ。でね、話の成り行きで、みんなの浴衣も是非作らせてほしいって頼まれちゃったんだ。」
モモの浴衣を仕立てている人って…、確か、超人気カリスマデザイナーの刈 須磨子(かり すまこ)じゃなかったか?
「そうだよ。須磨子ちゃんだよ♪」
モモは、当たり前のように答えた。
さすが、熾之宮家ご令嬢。
そんなVIPに毎回、浴衣を仕立ててもらうなんて、一般人の僕からすればあり得ないこと…。
え…、そんなVIPがぼくたちの浴衣を仕立てたい!?
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