星に願いを…

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「でも…、どうして有名デザイナーの刈 須磨子さんが、私たちの浴衣を仕立てたいなんてことになったんですか…?」 湊さんの言うとおり、話の成り行きとはいえ、そんなデザイナーさんが、頼んでまで一般人であるぼくたちの浴衣を仕立てたいなんて、普通は考えられない。 「え~っとね、昨日の打ち合わせの時に、去年なっちゃん達と撮った七夕祭りの写真を見せたんだ。そしたら、急に須磨子ちゃんが、目の色を変えて、『こんなに可愛いのに、メンズの浴衣を着るなんて…もったいない!!』って言いだして…。」 それで、是非作らせてほしいって事になったのか…。 おそらく、その可愛い子とは、梨子の事だろう。 去年、梨子がどんな浴衣を着ていたのかは、正直、思い出せないが、一緒に七夕祭りに行ったメンバーは、ぼくと梨子、モモとそのSPのイルさん、ルカさんだったので、必然的に須磨子さんの作った浴衣を着ていない女の子の梨子ということになる。 「スゴいじゃん梨子!!カリスマデザイナーの目に留まるなんて。」 ぼくは、日頃の仕返しとばかりに梨子をからかうように言った。 「……あんた、また何か勘違いしてるようね。」 梨子は、僕の言葉に怒るでもなく、何故か呆れていたようだ。
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