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晴火は扉が閉まるのを感覚で確かめると、まるで何かに追われるように駆け出す。
古びた鉄の階段を勢いよくかけ降りればパラパラと風化しかけた鉄錆が、アパートの壁沿いに勝手に育った雑草の上に降った。
晴火がアパートから出てくるのと入れ違いに、太った茶色のブチの猫とすれ違う。
はぁ…
はぁ…っ…
晴火は途中の電柱にもたれ掛かると顔を覆った。
っ…はぁ
はぁ
晴ちゃんって良いお嫁さんになりそうだよね
捺善の先程までの言葉が浮かぶ。
それは何度も夢に見た言葉だ
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