…Birthday

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見かねた鷹右が晴火を葬式が終わるまで散歩に連れ出した。 見回しても山の隙間にある廃村は真っ白で、木の幹が黒々としているように見えたのが印象的。 確か…大きな壁の所で兄と話をした しかしどんな内容か全く思い出せなかった。 数年ぶりになぜかその事が頭をかすめた。 しかし本当にかすめて何気無く口にした言葉で、何か返事を期待したわけではない。 晴火は炬燵の机に頬を預けると、ソッと目を閉じた。 窓の外では唸る風が木々を軋ませる。 晴火はそんな事は知らないように、冬の独特な沈黙の部屋で足元の暖かさを感じながら眠りについた。
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