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「でも…もしかしたら罪を犯していない人間も何かの間違いで向こうにいるのかもしれない」
ボンヤリと雪で薄くなった轍を私は見ていると、兄はソッと壁に手をついた。
私は横でそんな兄をまたボンヤリと見ている。
「この手をついた向こうで…もし誰かが俺と同じように手をついてたならその人はきっと間違いで捕まっただけなんだと思う」
晴火にはまだ難しかったかな?と苦笑いで笑う兄のクシャリとした顔は涙が滲んでいた。
私は同じように壁に手をつくとヒンヤリと冷たくて、あまりの冷たさに指先の感覚が麻痺していた。
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