44人が本棚に入れています
本棚に追加
…気まずい。
沈黙の時が流れ、払拭するようにユイが口を開いた。
「アッシュ、何をしてたの?」
ユイはいきなり核心をついてきた。
どう答えればいいんだ?
お前のことを考えていたら眠れなかった…とか…。
死んでも言えるか!
「お前こそ…。」
オレは思わず聞き返した。
「この前、世界樹のところに行ったら、様子がおかしかったの。黄色く光ってて…だからキールに調べてもらってたんだよ。」
世界樹…それにしたって、こんな時間まで…。
頑張りすぎにも程があるだろ。
「とにかくもう休め。」
やっと出てきたセリフがこれか…オレは…。
ユイはうん。と頷き、目を擦る。
「おい、足元気をつけろ…。」
夜の機関室は暗い。
「うん…っ、うわっ!」
案の定、配線に足を引っ掛けたユイをオレは思わず支えた。
ドサッという音と共に、オレは尻をついた。
「…った…だから気をつけろと…。」
と、言いながらオレは覆いかぶさってきたユイに驚いた。
スピーという寝息を立てて…寝てやがる。
…どうしてこの状況で寝れるんだ…。
オレの膝で安心しきったような寝顔を見せるユイに、オレは思わずドキッとした。
上着をユイにかけて、フッと思わず笑ってしまった。
…それよりオレはどうすれば…。
と思いながらも、こんな状況も悪くない。とオレは思っていた。
「やれやれ。…リッドの部屋ででも寝かせてもらうかな。」
陰から見ていたキールがそうつぶやいたことも、オレには知る由もなかった。
最初のコメントを投稿しよう!