君がいたから◆第1部◆

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翌日オレは、甲板に出て朝の空気を吸った。 結局あのあと、ユイは全く起きなかったので部屋まで連れていき、ベッドに寝かせたのだが…。 「おはよう!アッシュ!」 いきなりオレの前にユイの顔が現れた。 驚いたオレは思わず、顔を赤らめてしまった。 不意打ちにも程があるだろう。 「昨日はありがと…えっと…。」 ああ。昨日寝てしまったことを詫びているのか。 「たいしたことはない。」 オレがそういうと、ユイはニッコリと笑顔を見せた。 「ユイー!!」 船の中のほうから聞き慣れたムカつく声が聞こえた。 現れたのはルーク。 「…っと、アッシュも一緒か。」 ルークは若干気まずそうな顔を見せた。 オレも貴様などの顔はみたくはない。 「どうしたの?ルーク!」 ユイはルークのほうに駆け寄って行った。 さっきまでオレの傍にいたのに、サラリと向こうへ行ってしまう。 それに対してオレは、何だか複雑な感情を抱いた。 「嫉妬だな。」 またもや後ろから声がした。 「セルシウス…貴様、いい加減にしろ…。」 何でオレの心を読むんだ、貴様は…。 「まぁ、ルークとユイがどうこうなる…って事はないと思うけどな。」 …確かに、ルークがユイに特別な感情を持っていることがないのは、オレにも分かる。 ただユイが、オレ以外の奴に笑いかけたり、優しくしたりするのが嫌なだけなんだ。 「…な?ちっちゃい男だろ?」 「意外ー。アッシュってもっとドンと構えてるタイプだと思ってた。」 …オレの背後で…。 「楽しそうにしてんじゃねぇ…セルシウス、カノンノ!!」 (ゲームでの配置:甲板にアッシュ、セルシウス、カノンノ) 二人はニヤニヤ笑いながら中に入って行った。
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