君がいたから◆第1部◆

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それから数日。 最近ユイの姿をあまり見ない…食堂には姿を見せているが、ほとんどコレット、エステルといった女ども…(オレがわりと話し掛けにくい部類の)と一緒にいる。 「寂しいのはわかったから、オレにそーゆー目を向けるな。」 隣に座っていたユーリがそうオレに言った。 「何をやっているのか、ユイに直接聞いてみたらいいじゃねぇか。」 ユーリの言ったことはもっともだ。別に避けられてるわけじゃない…(多分)んだから、ユイに直接聞けばいいんだ。 聞け…聞けば…。 「何か用~?アッシュ?」 …ハロルドがこちらを向く。 「いや…。」 オレの行動を見て、事情を知るユーリが笑っていた。 「女の子達ー☆何やってるのー?」 そしてあっさりと聞くな、ゼロス! ユイはチョイチョイっとゼロスをかがませ、耳打ちをした。 それを聞いたゼロスはふぅーん、と納得をしてこっちをチラッと見た。 …何だ? すぐにゼロスはオレから目をそらし、ユイにそっと何かを言ってから食堂を去った。 気になる…。 そして正直おもしろくない。 分かってる。アイツは誰にでもあんな態度だ。別にオレだけ特別。というわけじゃない。 オレに匹敵するくらいのひねくれ者…。 リオンとかスパーダといった奴らですら、ユイにはすっかり心を開いてやがる。 同じひねくれ者だから、オレには分かる。 「元気ないね。アッシュ。」 オレの前で手を振ってきたのは、ルカ。 気弱に見えるが、コイツはホントに強い。たぶん、ガチで戦ったら勝てるかわからない。 あ、コイツならイリア辺りから何か聞き出してるんじゃないか…聞いてみるか。 「ルカ…。」 まさかオレに話し掛けられるとは思ってなかったんだろう。 驚いて、若干怯えた目をしてやがる。 オレはそんなに怖いか?
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