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「あのさ…何かイリアから…。」
それを聞いた途端、ルカが完全にキレた目をした。
…な、何だ?何を怒ってるんだ!?コイツ!
「イリアなんか知らないよっ!!今その名前を僕の前で言わないでっ!」
さっきまでの怯えた感じはどこへやら…すっかり怒りの炎…(見えた気がした)を噴き出したルカは、オレの前から去った。
「イリアとルカ…ケンカ中なんだよ。…タイミング悪かったな、アッシュ。」
ユーリがそっと手を置く。
…おとなしい奴がキレると怖いってホントなんだな…。
「あまりお節介は好きじゃないが、オレが聞いてこようか?」
ユーリは、不甲斐ないオレにそう言ってくれた。
が、オレは首を振った。
ユーリはそっか。とそれ以上は何も言わなかった。
オレはコイツのこういう空気を読めるところが好きだ。
数日後。
オレは調査の依頼をリフィルから受けて、世界樹に行くことになった。
…そういえば…。
オレは少し前に、キールとユイが話していたことを思い出して、ユイを捜した。
…いた。
運の良いことに一人だった。
「ユイ。」
オレが呼ぶと、ユイはこちらを向いた。
「どうしたの?アッシュ。」
オレの数日間の悩みなんかゼンッゼン知らないんだろうな、コイツは。
のんきな声を出しやがって。
「リフィルから世界樹の調査を頼まれたんだ。あの…。」
オレは言葉に詰まった。
「あたしも一緒に行っていい?」
オレが言うより先に、ユイはそう言った。
「あ、ああ。」
元々お前を誘いに来たんだからな。
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