君がいたから◆第1部◆

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オレはおもむろに、剣の鞘に手をやる。 「…オレで良ければ、剣の相手くらいするが。」 そう言うオレにユイが焦りながら言った。 「えっ?いいよ。アッシュ、怪我してるんだしっ!」 ユイに言われて、オレはため息をついた。 「一ヶ月も前のたかが捻挫がどうしたって?…大体お前とルカが騒ぎすぎなんだ。」 …一ヶ月前の依頼。 ベリー鉱山に向かったのは、依頼を受けたルカとオレとユイ。 不意に後ろからエネミーに攻撃をくらったユイを庇い、オレがバランスを崩して転倒しただけの話。 ルカがエネミーを倒して、そこは何でもなかったんだが、血が苦手なルカと、自分のせいだとユイが騒いだ。 おかげで帰ってからはコイツが怪我の手当やらで、しばらくオレの傍から離れなかったし、騒ぎすぎたせいで周りが余計な心配をするしで、散々だった。 …が。 「相手がいるといないとでは効率も違う。腕を上げたいなら遠慮なんかするな。」 コイツに心配されるのは悪くない。 「…じゃぁ…お願いします。」 ユイは下を俯いて少し、顔を赤らめた。 「最初からそう言っていればいいんだ。…行くぞ。」 オレが剣を抜いた途端、ユイの表情が変わった。 ユイは自分の身長より大きな剣(ユイは両手剣装備)を抜き、オレに飛び掛かって来る。 オレは剣でユイの攻撃を防いで避ける。 ユイはクルッと回ると剣を再び振りかざした。
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