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「あまり思い入れないほうがいいぞ。」
オレの後ろから話しかけてきたのは、セルシウスだった。
「何の話だ。」
セルシウスは腕を組んだまま、オレに静かに話す。
「奴はディセンダーだ。いずれ役目を終えれば世界樹へ還る。あまり思い入れても、お前が辛い思いをするだけだ。」
セルシウスに言われ、思わずオレはセルシウスを睨んだ。もちろんコイツは動じない。
「…何の話しをしているかわからないな。」
セルシウスは鼻で笑った。
「…まぁただのお節介な忠告だ。」
セルシウスはそう言って、中に入って行った。
…ディセンダー。
世界を守る切り札として、世界樹が産み落とした戦士。
だから世界が元通りになれば、アイツは世界樹に還ってしまう。
だからそうなればもう、アイツとは離れてしまう。
…だから何なんだ。
…オレは別に…。
「アッシュー?何してんのー?」
ユイがオレを呼びに来た。
「アッシュなんか放っといて、向こうでオレとごはん食べようね☆ユイちゃん☆」
と言って、ユイの肩に腕を回したのはゼロス。
コイツは気に入らない。
「ゼロス…明らかにユイが嫌がってるじゃないか…。」
そんな二人の間に割って入ったのはクロエ。
ユイと同じくらいの小柄な体つきのくせに強い。
「クロエちゃーん☆わーい両手にお花☆」
そんな冗談をいいながら、ユイとクロエは食堂に連れられて行った。
ユイがチラッとこっちを見た気がするが、まぁ気のせいだろう。
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