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その夜。オレは眠れなかった。
セルシウスの言っていたことと、ユイの顔。そしてオレの感情がグルグルと回っていて、目を閉じてもそのことばかり考えてしまう。
オレは寝室にしている3階の小部屋を出た。
機関室に降りるとそこには、キールの姿があった。
何やら眼鏡をかけて、たくさんの書類に目を通している。
そんなキールのところに、何とユイが駆け寄ってきた。
「あったよ。キール!これじゃないかなぁ?」
ユイはキールに書類を渡した。書類に目を通したキールは眼鏡を外して、目頭を抑える。
「…残念ながら解決のヒントにはなっていない。…やはり直接行くしかないんだろうな…。」
そうキールが聞くと、ユイはしょんぼりとした顔を見せた。
ホントにコイツは感情が素直に顔に出る。
「僕がチャットに依頼を出しておくよ。…一緒に行ってもいいんだけど…。」
キールは少し困った顔を見せた。
「ファラが風邪ひいちゃって心配なんでしょ?いいよ。あたしが行ってくる。」
キールはユイに優しい顔を見せた。
「ありがとう。…それで?アッシュは何か用なのか?」
キールはそう言ってこちらを向いた。
「えっ!?アッシュ?何で!?」
ごまかしきれる気がしない。と、オレは物陰から二人のほうに近寄ってきた。
キールは何かを察したかのように、眼鏡をしまって立ち上がった。
「僕はコーヒーを入れてくる。」
そう言ってキールは、食堂のほうに降りて行った。
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