君がいたから◆第1部◆

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その夜。オレは眠れなかった。 セルシウスの言っていたことと、ユイの顔。そしてオレの感情がグルグルと回っていて、目を閉じてもそのことばかり考えてしまう。 オレは寝室にしている3階の小部屋を出た。 機関室に降りるとそこには、キールの姿があった。 何やら眼鏡をかけて、たくさんの書類に目を通している。 そんなキールのところに、何とユイが駆け寄ってきた。 「あったよ。キール!これじゃないかなぁ?」 ユイはキールに書類を渡した。書類に目を通したキールは眼鏡を外して、目頭を抑える。 「…残念ながら解決のヒントにはなっていない。…やはり直接行くしかないんだろうな…。」 そうキールが聞くと、ユイはしょんぼりとした顔を見せた。 ホントにコイツは感情が素直に顔に出る。 「僕がチャットに依頼を出しておくよ。…一緒に行ってもいいんだけど…。」 キールは少し困った顔を見せた。 「ファラが風邪ひいちゃって心配なんでしょ?いいよ。あたしが行ってくる。」 キールはユイに優しい顔を見せた。 「ありがとう。…それで?アッシュは何か用なのか?」 キールはそう言ってこちらを向いた。 「えっ!?アッシュ?何で!?」 ごまかしきれる気がしない。と、オレは物陰から二人のほうに近寄ってきた。 キールは何かを察したかのように、眼鏡をしまって立ち上がった。 「僕はコーヒーを入れてくる。」 そう言ってキールは、食堂のほうに降りて行った。
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