松本久志との出会い

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 カラン カランッ  店内に音が響く。  「いらっしゃいませ~!」  「コレ、お願いします」  「はい、かしこまりました。おかけになって、少々お待ちくださいね」  微笑むと、お客さんを椅子に勧めた。  ここは、私が働くクリーニング屋さん。店長の趣味で、扉は自動ドアでは無いし、普通の家のリビングにお客様を通す。みたいな感じで、落ち着ける雰囲気のお店だ。ぬいぐるみも家具もアンティークの物が飾ってあったり、とても可愛い。  昔からお世話になっているお店で、高1から今までバイトさせて貰っている。なので、3年たった今では、かなりベテランだったりする。  「では、スーツ1点とネクタイ1点と、コート1点、お預かり致します。こちらのカードを次回忘れないでお持ちくださいね」  ペコリ  夕方のこの時間はお客さんが少ない。平日だし、セール中でもないし仕方ないかな。  ぼーっと店内の片付けをしていると、店の奥から店長の声がした。  「柚奈ちゃ~んっ!新人のイケメンが入ったわよぉ♪」  振り向くと、店長と男の子がいた。  「柚奈ちゃん、新人さんは、松本 久志くん。ピチピチのイケメンの高校2年生なのよ♪」 「ピチピチって…店長、いつもより声のトーン高いですよ…」  店長ったら、ミーハーオバチャンなんだからって、ついつい笑ってしまう。  一緒に入ってきた男の子は、175センチくらいで、スラッとした今どきの男の子だ。茶髪のサラサラで…前髪がウザそうだなぁ…。前ちゃんと見えてるのかなぁ…。  …おっと、下らない事考えちゃった。  「よろしく、私は白石 柚奈。18歳、ここでは3年働いてるし、分からない事があれば、なんでも質問していいからね」  にこっと微笑み手を差し出す。  松本くんは、握手はしたが、私の顔を見ようとしない。  「ねぇ、挨拶する時とか、話をする時は人の顔見たほうがいいよ」  思わず、顔を覗き込むと松本くんは顔を真っ赤にさせていた。  「???」  私は口をへの字にして目を?にしていると…  「あらあらぁ?面接の時は普通のイケメン♪…だったけど、柚奈ちゃんが可愛すぎで照れちゃったかな?」  店長は明らかにちゃかして楽しんでいる。  …イケメンには弱いんだからぁ…!
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