10人が本棚に入れています
本棚に追加
「有り難うございました~!」
ペコリ
今日は土曜日。
土曜の午前中はスーツとネクタイとシャツのクリーニングセールの日で、店長いわく、『サラリーマン、OLさん、いらっしゃ~いデー!』だそうだ(笑)
そして、ようやく時計の針が12時を切った…!
いつまでも続いてた行列が途絶え、ホッとする。
隣を見ると、初めてのピークを終えて、脱け殻になっている松本くんがいた。
「お疲れ、松本くん♪どうでした?初ピークは?土曜は毎週こんな感じだから、覚悟した方がいいわよ」
背中を叩いて励ましてあげると、松本くんはげっそりした顔をして笑っていた。
「いや、ホント大変でした…。俺来る前は店長と2人で回してたんですか?」
「まぁねぇ。…でも、仕事に慣れちゃえばスピードも上がるから、大丈夫だよ!」
松本くんはそうかなぁ、という顔で、「はぁ」と返事をした。
これは完全に疲れ切ってるな…ハハハ。
「…店長がお茶入れてくれてると思うから、少し休憩しておいでよ」
「先に休んでいいんですか?」
「何、げっそりした顔で聞いてるの。しっかり休んでおいで!」
「すいません、有り難うございます」
松本くんはペコリとお辞儀をすると、休憩室の方に入って行った。
私は手を振って、いってらっしゃいと言った。
さて。
12時20分を過ぎたけど…。
いつもこの時間に、慌てて入ってくるお客さんがいる。
来るかな?
店内にある鏡を覗き込み、髪が乱れてないかな…とかチェックする。
これから、来るかもしれないのは、木ノ下さんというお客さん。
私は木ノ下さんに憧れている。ただの常連さんだし、世間話以上の事は話した事はないし、何も知らないのだけど、来てくれると嬉しくて、疲れもふっとぶくらい元気になってしまう。
木ノ下さんて、普段は何をしてるのか、聞きたくても…ちょっと恥ずかしくて…っ、聞けない~っっ
「あぅぅぅぅ~…」
最初のコメントを投稿しよう!