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カラン カランッ
「あっ、いらっしゃいませっ!」
はっと、我にかえって店の入り口の方に顔をやると…
「こんにちわっ、遅くなってしまって、まだセールの時間大丈夫ですかっ?!」
「あっ、木ノ下さん!」
木ノ下さんは、少し寝癖頭で部屋着姿で、かなり慌てた様子だった。
「ふふっ、なんて格好ですか。急いで来たんですね」
思わずクスクス笑ってしまう。
「もぅ12時まわっちゃったね、今朝は寝坊しちゃったんだ」
「ふふっ、特別にセール価格でお預かりしますね。スーツ1点とネクタイ1点ですね」
「ありがとう、白石さんは優しいから助かったよ」
木ノ下さんは毎回遅れた時間にやってきて、こんな調子です。
でも今日は本当に寝坊しちゃったみたい。
なんだか、私生活が見える感じで嬉しいかも♪
そんな事を考えながら、会員カードにスタンプを押していると…
なんか、木ノ下さんの目線が気になる。そりゃ…私は店員さんだし見るだろうけど…なんか照れちゃうわ…。
「あの…木ノ下さん…」
勇気を出して、何か聞いてみようとすると、店の奥から声がした。
「柚奈さん、休憩有り難うございました。もぅ、大丈夫ですよ。柚奈さんが休んで下さい」
休憩室から松本くんが戻ってきた。
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