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「あっ、松本くん、お帰りなさい。…もぅいいの?」
勇気を出したのに、何も聞けなくて、気が抜けてしまう。
松本くん、タイミング悪いよ~!!
「あれ、こんにちわ。新しいバイトの人が入ったんだね」
木ノ下さんは松本くんの姿を見て、ニコリと笑った。
「あ、そうなんです!今週入ったばかりの松本くんです」
…って、松本くん、木ノ下さんの事睨んでない?
「あの、松本くん、顔が怖いんですけど」
あぁ…木ノ下さん、笑顔が引きつってます…!
なんか、二人は相性最悪な感じなのですが…
「あのぉ…二人とも…」
「あらぁ、いらっしゃい」
そこにタイミング悪く(?)店長がやってきた。
「店長ぉ~…」
私は少し涙目になって、店長に助けを求める。
「ん~、よしよし。もぅ大丈夫だからね」
店長は私の頭を撫でると、休憩室で休むよう指示した。
「え、でも…店長…」
「いいのよ、ここは私に任せてね」
店長の鋭い目力にすっかり負けてしまい、退散する事にした。
「木ノ下さん、休憩してきます。また来週も来て下さいね…っ」
私は淋しそうに、眉を寄せて、木ノ下さんにお辞儀をする。
「大丈夫、また来るよ」
木ノ下さんは優しく微笑み、手を振ってくれた。
優しいなぁ…、やっぱり素敵だなぁ…。
胸をジーンとさせて、私はその場を後にした。
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