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COSMOS REPORT No.02
それは、膨大な力を秘めて生まれたとは思えない
小さな子供でした。
その力が育つまで、国が面倒を見るはずでしたが
私たちは、その子を引き取り
自分の子供のように育てることを決めました。
あの無垢な瞳を前に、他の選択肢が取りえたでしょうか。
私たちの子ではなく、国の持ち物だということは
痛いほどよくわかっていました。
いつか奪われてしまうことも、その意味も。
夫は与えられた仕事に疑問を抱いているようでした。
今まで彼が発明した、浮遊石や飛空艇……
それらは人々の生活を豊かにするものでしたが
あの子は違います。戦争の道具なのです。
しかし、災いはすぐそこまで迫っていました。
隣国による、召喚獣やオメガと呼ばれる兵器に
対抗する手段は他になかったのです。
彼は、私たちの平和を守るため
研究を続けなければならなかったのです。
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