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これは、前にいた職場の同僚から聞いたお話……。
その方のご主人がまだ高校生の頃、当時、ご主人のお兄さんが新聞配達をされていたのですが、合宿があるとかでどうしても行けないからと、弟である彼が兄の代わりに夏休みの一週間、新聞配達をされたそうです。
それから一週間、早朝からマンションや団地と、元気に階段を駆け上がって彼は兄の代役を務めました。
とある団地のある部屋に、早朝にも拘わらず、新聞を入れる時にいつも窓からこちらを覗いている人がいたそうです。
朝早い人だな……と彼は思いながらも、住人の顔を見るともなしにいつものように元気に挨拶をして、毎日新聞を郵便受けに差し込んで通り過ぎていました。
そして、何事もなく無事に一週間が過ぎ、合宿から帰ってきた兄とバトンタッチしました。
暫く日が経ってから彼は兄から聞かされました。
その団地の、その部屋のいつもの人は、弟が新聞配達をしていた時には既に首を吊っていたのだと……。
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