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テーブルにつき奥さんが口を開くのを待った。
「さて、琉ちゃんなんで帰れって言われたか解る?」
『…わかりません。』
「フフッでしょうね、オーナーは貴女の事が可愛くて仕方がないのよ。」
『えっ!? じゃあ何で帰れなんて言われるんですか?』
「私もそうだけど琉ちゃん、貴女はうちの家族も同然だから無理はしてほしくないの。」
驚いた、オーナー達がそんなふうに思ってくれていたなんて。
俺は、俺自身はただの従業員であって…勿論オーナーのことは師匠としても尊敬しているが、【家族】だなんて考えたこともなかった。
「それに今日の琉ちゃんはいつもと違ったわ、何か悩んでるように見えた。」
「その証拠に集中してなかったでしょ?」
自分でも思っていたことをあっさりと見抜かれた。
「貴女はいつも周りに線…いえ、壁を創っているわよね?」
そうだ…俺は必要以上に関わられるのを避けていたし、自分からも関わる事はなかった。
「そんな貴女が初めて迷いを見せたのに、心配するのが当たり前じゃない!」
「琉ちゃんが病院に行ってからあの人、自分でも動揺して何かあったんじゃないかって五月蠅いくらいだったのよ。」
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