日常

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俺には家族はいない。 両親は俺がまだ小さい時に事故で死んだらしい。 それからは祖母が親代わりをしてくれた。 厳しい女性だったが、俺が高校一年の時に他界した。 親戚と呼べるような人もいなかったのでずっと独りで生きてきた。 別に寂しいとも思わない。 幼い頃からそうだった、どこか感情が欠落したような可愛げのない子どもだったと思う。 今も感情を面に出すことはない。 店でも必要最低限の会話しかしない。 こんな俺なのにオーナー夫妻は何故か俺のことを気に入ってくれている。 本当に良い人達だ。 ただ一つ難点なのは、もう一人の従業員そうホール担当の女性、雅美さん。 俺のことを暇さえあれば構おうとしてくる。 彼女からすれば妹のようなのだろうが、正直参る。 しかし彼女の接客は素晴らしいモノがあると思う。 敢えて口には出さないが、もっと高級なレストランでも十分に通用する程の腕前だ。
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