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「本当に良かった。」
私はレッドさんを見ながら呟いた。
なんだかこの人、まだ少年だけど、
まるで、あの人みたい。
私に初めてポケモンを触らせてくれた人。
いつも右肩にピカチュウを乗せていたあの人。
「本当にありがとうございました。レッドさん。」
「いや、こっちこそありがとごさいます。おかげでフシギダネを手に入れることができたんだから。」
そして、レッドさんは、
「それよりすみません。簡単にフシギダネをもらうなんて言ってしまって。」
「いえいえ、いいんです。私も少しあきらめるのが早いと思いましたから。それに、これじゃああの人に顔向けできない。」
「あの人?」
「あ、何でもありません。けど、本当にありがとうございました。」
彼はきっと知らないだろう。
いや、ひょっとしたら知っているかもしれない。
けどやっぱり、
「それより昼食にしませんか?もうお昼です。」
言わないでおこう。
私だけの王子様だから。
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