第一話

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  「どうも思わないって、なんでだよ。思えよ。お前も昼寝族の一員だろ?」 「なにそのわけわかんない一族。入った覚えないし」 「なんだって!?」 「え、そこ驚くところ!?」  なぜか和真がびっくりしていた。驚いたのはこちらだというのに、不思議だ。 「春夏秋冬梅雨元旦。ありとあらゆる季節において最高の眠りを実現するために日夜努力を惜しまぬ不滅の一族。お前もその末裔じゃないか……!」 「まあ、色々言いたいことはあるけど、まずはその眠りのために日夜を惜しまず努力っていう論理的破綻をなんとかすべきじゃないかな……。不滅どころかむしろ真っ先に滅びそうだよね。ていうか季節じゃないの混じってるし」  ため息をつきながら和真はそんなことを言う。相変わらず小賢しい。こう見えて――いや、見た目通りに和真は頭がいい。ちなみにメガネをかけてるやつは頭がいいってのは完全なる俺の偏見。  野比家の坊ちゃんみたいなやつもいるわけだからそれが間違いだとわかってはいるのだが、それでも俺のなかでその認識が根強く残っているのは多分昔からこいつを見てるからだと思う。
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