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「あーダルい……」
龍斗は家に帰るなり、ベッドに横になった。
もう完全な夜である。
「ハァ…何でこんなに才能があるんだろう…」
龍斗は自分自身が化け物と呼ばれているのは知っている。
別にそれはどうでもよかった。
他の奴よりは何でもできるという自覚が持てたから。
しかし、その人間離れした才能にうんざりしていた。
両親には中学の時に泣きながら、「金は渡すから1人で暮らしてくれ」と言われた。
近所の人たちには龍斗に会うと真っ先に無視するか、冷たい目で見るか、逃げるかという始末。
そんな状況が続けば、いくら何でも精神的にキツい。
「別の世界に行けば普通の人間として見てくれるかな…」
そんなことを考えていた龍斗だった。
その時、外で爆発音が起きた。
「な、何だよ一体!」
龍斗は驚いて外に出てみた。
すると、何故かゲームでよく見るような全身が黒いローブで覆われた人が目の前の何かに向かって--炎を出していた。
「くそ、数が多いですね…」
黒いローブの人間はそう呟き、周りを見渡した。
一面、黒い獣みたいなもので満たされている。
狼みたいなものから、熊みたいなものまで。
退路があるか、探してみると、その中に1人の少年を見つけた。
「そこの君!早く逃げなさい!」
「え…でも…てかあいつらは何なんだよ!」
「説明してるヒマはありません!」
龍斗と話しながらも襲ってきた獣を次々と燃やしていく。
「死にたくなかったら早く逃げなさい!」
「ちょっ…」
黒いローブの人間は単身で黒い獣の大群に立ち向かっていく。
黒い獣が次々に燃えていくが、数が多すぎた。
「この……!?」
相当な時間戦っていたのか、脚から崩れ落ちてしまった。
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