落ちる女

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チョフ「コウたいとるヲ付ケタラ絶対釣レル」 由紀子「・・・・・・。」   由紀子はいきなり体育館裏に呼び出された。 昼休みに、だ。 友達の真弓に「たぶん先輩だと思うけど怖いロン毛の兄ちゃんが読んでたよ」と言われて来ての今のこの状況である。 てっきりボコられると期待していた由紀子はかなりがっかりしていた。 チョフ「ココデーサユリが過去ヲにらればイタメ」 由紀子「私の名前はユキコだってば。それにニラレバ炒めが何よ」 チョフ「売レル」 由紀子「あたしシェフじゃない!しかも若い乙女がニラレバなんて匂うものは無理っ!」 チョフ「違ウ、過去ヲニラレバ」 由紀子「・・・・・・語ればって言いたいの?」 チョフ「ソレ」 由紀子「市立月ヶ裏町保育園卒園後、市立月ヶ裏小学校入学。三年から五年にかけてユカちゃんにいじめられて、そして市立白月中学校に入学今に至る」 チョフ「ツマラナイナ。何カ無イノカ。嘘デモ親父ガ浮気トカ母ガ禿ゲタトカ隣ノージッチャンバッチャン芋食ッテ屁コイテ大事ナぱんつニ穴アケタトカ」 由紀子「嘘は駄目よ。フィクションのフィクションなんて紛らわしいわ。ちょっと待って。思い出すから」 由紀子はしばらく考えた。しかし思い返せば思い返すほど並外れて平凡な人生。衝撃的なことなんてチョフと出会ってからくらいしか無い。事件、事件。 由紀子「・・・こないだ使い捨てカイロ肌に直貼りしたまま寝て火傷したことかしら?これはチョフが関わってないから私個人に起きた事件よね。」 チョフ「ソレダ」 由紀子「・・・聞いて感動できる話とは思えないけど。」 チョフ「何ヲ言ウンダ。温モリモリヲ求メタ故ノー、火傷。コレハ恋愛小説ノベターナパターンネ」 由紀子「違う違う。恋愛に破れた乙女の(火傷しちゃった)とは別の意味なの。あたしは本当に火傷してるし、別に使い捨てカイロに恋してもないから」 チョフ「彼氏ノ使イ捨テ良クナイヨー!!」 誤解したチョフがパニックで泡をふいている。 いや、実際には大量のモッツァレラチーズ(本場ヨーロッパから直輸入)だ。宇宙人の体のしくみは謎でいっぱいである。 しかたがないので由紀子は火傷した話を語ることになった。 ちなみにとっくに昼休みは終わってしまい、由紀子はすなわちサボりである。
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