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環境変化が著しいこの世の中。本当は夏の時期が来てもいいのだが、今は冬の真っ只中だ。暑さ寒さも彼岸まで、何て誰か言ったんだろうか。ここ、白の街は万年冬らしい。
「っくしぇい──あ~きしょう!!」
欠片を集める為にこの街に来たのだが、もうこの街に来て一ヶ月が経とうとしている。
ヤバいよなぁ……爺ども怒ってるだろうなあと、少しの罪悪感を覚えながらもやはりこの街に居座り続ける俺がいた。
「────」
そして今、俺は朝から街にある大きな図書館の二階から、一階にある入り口を見つめる。
老若男女、様々な人が入り口のドアを潜って図書館に入ってくるが、俺が見たいのは一人だけだ。
結局、閉館時間までその人は来ることはなかった。仕方なく、一ヶ月前から泊まっているホテルに向かう。
フロントから鍵を受け取り、自分の部屋に着いた。明日こそは、と意気込んだと同時に、携帯のメロディーがコートのポケットから聞こえた。
「誰だ……」
『おい、烏』
聞こえてきたのは、渋い男の声。
「何だ爺か」
『さっさと欠片取っ──』
ツー。ツー。
うるせぇな。
何で野郎の、しかもしわがれた爺の声をこの俺が耳元で聞かねばならんのだ。最早これは暴力だぞ。
俺は携帯をベッドに投げて、ついでにホルスターと銃もその横に投げた。ぼすん、といい音が背中にあたる。
さてと、明日に向けて寝るか。
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