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「ごめんなさいハトちゃん。私が今朝に放送された戦隊物さえ見てなければ……ゆっくりと朝ご飯も食べれていたのに」
「いえ。気にしないで下さいミィさん」
「ごめんね。今日はレッドと、レッドの妹の兄妹シーンだったからどうしても見逃せなくて」
どこからかハンカチを出して有りもしない涙を拭き取るミィ。お前はどこぞの三流役者だ。
「いえ、兄妹シーンだったならしかたありませんよ。大切ですよね。兄妹は」
嘘つけぇ。兄を電気と武器で襲うお前に兄妹が解るものか。
その時、ハトはキッと俺を睨んできた。
「兄さん。今、失礼な事考えてませんでしたか?」
「い、いやぁ、別に」
クソッ、勘が鋭いな。
「ハトちゃん。なら、私まだ見たいアニメがあるんだけど……」
遠慮がちに上目使いで呟くミィ。
「へぇ……どういったのですか?」
瞬間。ミィはガバッと顔を上げて瞳を輝かせた。
「え? 聞きたい? 聞きたいの? つか一緒に見よう?」
「へ……?」
ミィは腕を後ろに回すと、そこから黒い台に立てられた細い銀棒を出してきた。
「ア……ンテナ?」
御名答、と俺を指差した後、ミィはテレビの上に黒い台を置き、銀棒を調節した。
「なんだ? 今の時間にアニメなんかやってんのか?」
「これねぇ、シルクちゃんに作って貰ったの。指定した地域の番組が観れるんだぁ」
ふんふふんふと間の抜けた鼻歌をして、テレビの電源を押す。
「あれ?」
押す。
「あれれ?」
押す。押す。
「なめんなぁ!!」
「蹴るなぁ! もう、どうして蹴るの! 蹴る意味があるの!」
昔のお母さん口調で怒ると敵のようにテレビを指差した。
「つかないんだから仕方がない!!」
「これ!!」
テレビの尻尾を見せる。それを最後まで見ていくと、当然のようにテレビの尻尾は壁と繋がっていないのである。
「…………………………………てへ」
なんだ、その、何というか、そう。
その仕草は止めろ。鳥肌が起つ。
「ああもうほれ、挿したぞ」
でボタンを、よし着いた。
「有難う御座いますご主人様」
いいえと答えてベッドに戻る。この部屋の構造上、テレビは俺がベッドで仰向けに寝たときの左側にある。距離は二メートル強。
そんな、ベッドとテレビの狭間の絨毯に二人のメイドは仲良く体育座りでテレビを観賞。
……姉妹みたいだなと思ってしまった矢先、ドアからノックがした。
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