─魅惑×疑惑─

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「お帰りなさい。お父様」  いつもやってるお辞儀を見せ、作り笑いを男に向ける。 「ただいま。今日も外は楽しめたかい?」  作り笑いに気付かず、この人は私に笑い返してくれた。 「ええ、とっても」  自分の感情を殺し、もう一人の感情だけを露出させる。  それでもやっぱり気付いておらず、この人は笑いを返す。 「今日はいつもより疲れたよ。私の部屋でお話をしよう」 「………はい」  息を呑み、私は静かにお父様の後をついて行った。  お父様の部屋は、窓から射す月明かりでぼんやりと明るく、いい匂いがした。  私は自分より五倍近いベッドに座らされ、お父様の仕事の話しを聞かされる。 「近々ね、      だ」  よく聞こえないし、聞くつもりは無い。ただ、私でも解るのは、この男はいけない人と言うこと。 「だけどね、心配何だ。怖くて怖くて」  お父様は私の直ぐ横に座り、私を自分の膝の上に抱き上げた。同時に、お父様の手は私の髪を愛おしそうに撫でる。 「いつも綺麗な髪だね」 「有難う御座います」  感情の無い声で、思ってもいない事を告げる。 「………ぁ」  お父様の硬い手は後ろから伸び、私のまだ実っていない乳房を服の上から揉みし抱く。  私の耳を軽く噛み、次第にそれは蛞蝓(ナメクジ)のように私の唇にまで這いずってきた。舌を私の中に突っ込み、音をたてて掻き回す。 「んっ……ぁ、は」  肉と肉、舌と舌が絡まる。  今の作業を止めず、お父様は器用に私の服を肩から脱がせる。  ──ハァ……ァ、ハァ、ハ。  だんだんと、雄の息遣いが荒くなってきた。  お父様の手は肌を滑り、私の雌の部分を守る布を侵しにくる。 「っ──あ、やっ、ん───」  嗚呼、またこの時間がやって来た。  私が、  愛される/犯される、  大好きで/大嫌いで、  気持ちのいい/吐き気のする、  お父様との/この男との、  愛の時間/憎い時間。  ──お父様、優しくして下さいね。 ◆  ──嗚呼、神様。私は誰ですか。  最初から興味が無ないのですか。  なら私を作らないで下さい。  泣いているお母さんを見ました。  泣いているお父さんを見ました。  笑っているこの男を見ました。  人形と言われた私は誰ですか。  嗚呼、神様。  告白します。  懺悔します。  ──私は、貴方が大嫌いです──  
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