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結局仕事が終わり帰り支度をする頃には19時になっていた。
19時に終わったと言ったが、もし先輩が手伝ってくれず定時で帰ったなら、俺は徹夜を強いられていただろう。
「ふぅ…疲れましたね先輩。これから一杯どうですか?」
「悪いな今日は無理だ。これとデートだからな」
先輩はニヤケながら小指を立てていた。たしかに先輩はかっこいいし、後輩の面倒見もいい、当然女にも優しい。
恵まれた顔を持った先輩。彼女がいるのなんて当然のことなのに、なんだろうこの敗北感は……
「そ、そうですか、じゃあお先に失礼しますね」
先輩が浮かれているのを羨ましそうに見ながら、自分の女運の無さを恨む。
というか先輩はどうやって彼女と出会うんだろう?この会社で女と言ったら事務処理をしてる30代前半の結婚してる人が数人だよな。
まあ彼女ができる程顔に恵まれてない俺には関係ないことか……
などとため息をつきながら俺は1人悲しく家路に着くことになった。
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