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武はその嫉妬に少し異常を感じると、その度に頭の隅に追いやった。
『うまくいってる?』
ガラガラの店内。
最新の音楽。
お客は誰もいない。閉店まじかなので俺は床をモップがけしていた。
『まーね』
『もう上がりなら一緒に帰ろうよ?』
今晩、双葉は仕事だ。その辺をふらついてはいない。
大丈夫だ。と踏んだ武は実利の誘いにのった。
聞きたいこともあったし丁度よかった。
あれは2、3年前のことだ。何かの用事で正(ショウ)の家にあがったとき、実利と他の女の子数名が遊びにきていた。ありえない光景だった。
どうしたら、そんな状況をつくれるんだ。
実利を紹介してもらったとき、すでに俺たちは顔見知りで〈あ…どうも〉といった感じの挨拶をした記憶がある。
話をしたことはないが仕事場が非常に近いので、互いに顔は知っていたのだ。
その日以来、シフトが合うときは何かしらの会話をする仲になった。
駅までの道中。武は実利に聞いた。
『ミノリってヤキモチやく?』
『やくよ。だってショウって女友達多いじゃん!?
…あ、でもね。
その女の人たちと仲良くなってきちゃってる感じ💧』
『なんで?恋敵だろ?』
『んーなんでだろ。
私そういう競り合い嫌いなんだ。』
実利は一見勝ち気に見える。口をきく前の印象も気の強そうな女だった。が、以外とそういうところがある。
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