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ふたりは改札を抜けて電車に乗り込んだ。平日の終電ということもあり、所々に乗客が間隔を空けて座っている。
車内はとても殺風景なものだった。
10月に入ると夜は冷え込む。昼間は晴れていて暖かかったため武は薄着だった。
ふたりはボックスに対角線上に向かい合う形で座る。
武はシートに腰を降ろすと肩をすくめた。
そして窓の外に目を向け、見慣れたネオンを見つめたまま、それとなく実利に問い掛けた。
『フタバとはいつからの付き合いなの?』
実利は長い髪を整えながら口を開く。
駅に向かう途中、外は非常に風が強かった。そのため武の頭もボサボサだが、彼はそのままだった。
『いつからの付き合いというか…
高校時代の3年間のみの付き合い。
たまたま私が働いてるクリーニング店に双葉がお客としてきたのよ。今年の4月あたりだったかな?
偶然の再会!
5年ぶりかな? 双葉から聞いてない?』
『へー知らんかった』
聞いていない。
まぁ言う程のことではないかもしれないが。
当時はそれほど仲がいいということもなく…ただのクラスメイトといった感じだったらしい。
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