嫉妬

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『当時、双葉には付き合っている彼がいたの…』 そこまで言うと実利は口ごもった。 『なんだよ。そんな過去のこと何とも思ってないよ。しかも彼がいたことは聞いたし。実利から。』 『わかってるわよ。 …あのね、その彼の気持ちが私に移りだしたの… まいるよ。 クラス内で三角関係なんて』 実利は彼に対して、なんとも思っていないようだった。 だが、彼のほうは双葉が居るにも関わらず実利を好きになってしまったわけだ。 『その彼と双葉なんで終わったんだよ?やっぱ、彼の心変わりが原因か…』 『…自殺よ』 息を呑んだ。 窓の外に顔を向けて話していた武は、ゆっくりと実利の方に顔を向けた。 彼女は暗い窓の外を見たまま言った。 『本当よ。 駅のホームで飛び降りたの』 心臓が激しくなった。 今の話しを聞いたからではない。 幹がいた。 距離はあるが、車両が空いているためボックスに座っている彼がよく見えるのだ。 しかもこっちに体を向けて… さらに怖いのが、体と一緒に目線も武に向けられていた。
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