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あのあと俺が先に電車を降りた。実利はそこから更に2駅いったところで降りる。
枕元に手を伸ばす。ケータイを手にした。
もう夜中の2時を回ろうとしている…
寝れない。
いったい何なんだ。
たまたま同じ車両に乗り。そして、たまたま目が合った。
…そんなわけがない。
あの突き刺さるような視線。
気味が悪い。
それはまず置いといて。
実利の話しにも気になることがあった。
あの話には続きがある。
実利は話すべきか迷ったあげく口を開いた。
クリーニング店で再会した話にもどるが、そのとき双葉は実利にあることを頼んだ。
(ねぇ…
あの人紹介してよ!?
さっき、ふたりで話してたじゃない?たまたま、さっき見たのよ)
もちろん、その人とは俺のことなのだ。
それで、あの飲み会が実現した。
嬉しい話のはず…
でも、彼を取られた相手に近づくか?
というところを実利は疑問に感じていたため、あの飲み会以来、双葉とは会っていないらしい。
もう昔のことで彼女の中では清算済み?
…できないだろ?
武も双葉の行動に疑問を感じていた。
また話の続きを頭の中でリピートしていた。
(もしかして俺…
その彼に似てる?)
(うん……実はちょっと似てる…)
(………)
双葉は当時の彼に似てるからという理由で俺に近づいた。
亡くなった彼を忘れられずに…
ずっと天井を見ていた。
双葉は夜勤だからまだ仕事だ。
そのため武はベットを独りで占領していた。
今日はいなくてよかった…武は電気の消えた暗い部屋の天井を見たまま、仰向けに横たわっていた。
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