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午後6時08分K駅に到着。武(タケ)は電車を降りて南口へと向かい歩いた。
この時間帯は人で込み入っている。
仕事帰りのサラリーマンや学校帰りの学生で、電車内も駅のホームもごった返していた。
こんな人込みも慣れている。武は学生時代にこの駅を通って通学していたからだ。
慣れた足取りで人込みを擦り抜け南口をでた。
電車に乗ってるときは、四方八方に学生やらサラリーマンやらでギュウギュウで、そのため吊り革は無用だった。そんな状況のなかでは外の様子なんて分からなかった。
『雨降ってんな~』
南口に立ち思わず口に出た。梅雨に入ったと、そういえばテレビで言っていた。
そこを出てすぐ目の前に、ココ周辺の地図が載っている看板の前に二人の男が立っていた。武はその二人と目が合い駆け寄った。
一人は社交的で男女問わず好かれるタイプであり、しかも女性のように綺麗な顔をしている。
もう一人は、不精髭を生やし飾らず自然体といった感じだろうか…
今日という日も、それを生やしたままだ。
でも男前なので、そこがまた渋い感じだ。
『なに!?お前こんなに雨振ってんのに傘もってこないのかよ』
綺麗な顔を引きつらせながら正(ショウ)が呆れ返って武に言う。
『来るときは降ってなかったんだよ。』
『まぁ入れよ』
『ダイと一緒は勘弁!男と一緒はないでしょ~』
武は大(ダイ)が差し出したビニール傘を拒否した。
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