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彼女もまた、武をみてすぐに気が付き驚いた表情をしていた。
かと思うと、一変して笑顔になった。
その笑顔を向けられた武の心臓は高鳴った。
彼女はジャージにTシャツといったラフな格好だった。ちょっと親近感が湧いた。
お互いに連れがいなかったため一緒に帰ることになり、俺は緊張を表にださないように平然を装った。
『歩いてきたということは家近いの?』
『あそこよ』
と彼女が指さした。
彼女のアパートから武のアパートまで距離は徒歩5分といったところだ。
彼女も一人暮らしだった。
『タケくんもこの辺なの?』
と聞かれ、家までの道順を教えた。
『近いのね!』
彼女は大きな目を更に大きくし驚いていた。
街灯のライトのせいだろう、彼女の顔が青白い。そのせいで不健康そうな印象を受けた。
でも、その血の気が引いた青白さが……なんというか人間離れしていて――…
彼女の美しい顔を一層引き立てた。
なぜ、そう感じたのか自分でもよく分からなかった。
でも同じ顔色をしているだろう俺は、きっと不健康さしかない。
『そんなに近いなら今度おじゃましようかな?
送ってくれてありがとう』
『え!?そうだね是非今度』
彼女は手を振ってアパートに入って行った。
俺は彼女のアパートから一人で家に向かって歩いた。
どーいうことだよ!
めちゃくちゃ近いじゃん!
しかも偶然の再会!
本当に一人暮らしなんだろうか?
ふと思った。
だってあんなに可愛いだぞ。彼氏いるんじゃないか…
急にテンションが下がった。
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