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午前9時。
搭乗待機列に並び、期待に胸を膨らませながら楽しそうにお喋りをしている人たちの声が聞こえる。
「――客室整備完了。搭乗を開始させてください」
無線からの通信が入ると、俺は搭乗待機列のTVモニターに繋がっている、コクピット内のモニターのスイッチを入れた。
「皆さん、おはようございます。今回のフライトを担当させていただく、操縦士――フライヤーのエルト・ハインリッヒです」
お決まりの挨拶をすると、搭乗待機列でワーッと歓声が起こる。
「準備が整いましたので、只今より搭乗を開始致します。オペレーターの指示に従い、前の方に続いてご搭乗ください」
そう言うと俺は一礼し、モニターのスイッチを静かに切る。
「よし、上出来!」
コクピット内で1人、ガッツポーズをする。
コクピット内で細かい作業をしているうちに、客の搭乗が終わり、出発の準備が整った。
俺は今一度気合いを入れ直し、無線でシステムの最終確認を行う。
「――システムオールグリーン。くれぐれも十分な滑走を行ってから、飛行を開始してください」
「分かってるって!」
無線越しに聞くオペレーターの応答に、俺は勢いよく答える。
「それじゃあ行くぜ!エルト機、発進!」
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