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 何処かの小高い丘の上。だだっ広い野原に胡座をかいて、そこから見える景色を口を開けて眺めている一人の女。 ( 困ったもんじゃね。) 脚に片肘つき頬を掻いて、正(マサ)にお手上げと云わんばかりな雰囲気を醸し出している。 大して使い処のない頭を酷使し、どれ程の時が経っているだろう。 制服の上着ポケットから取り出したのは、学生の自分にはあるまじき品 愛用歴の長い銘柄の物を喰わえ、ふと思う 若気の至りから吸い始めた煙草、中毒性が有るのは真実。 これまで幾ら止めようしたが、意志が弱い自分など長続きはしなかった。 考え事をしている時などは特に口寂しく ( 後悔先に立たず…… ) ふうと吐き出した煙は、雲一つない茜色に染まりかける空へ昇ってゆく。 その様子を無心で眺めてる彼女の姿は、端から見れば変な人。 ( こんな、ボーとするんはえっと振りやな。) どうやら呑気な性格の様だ。 慌てふためいた処で、どうにもならない現実を無意識に理解して要るのかも知れない 「 さて、どうするか…… 」 残り少なくなった煙草を携帯灰皿に始末してゴロンと寝転がれば、再び空を眺めた。 ゆっくり閉じられてゆく瞳は眠りに就くつもりか、それとも考え巡らしているのか  
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