全ての終わりは突然に (二)

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恐怖に心が支配され、自らの予感に苛まれている内に織田雄夜と黒衣の不審者との距離は縮まり、二人の距離はあと数メートルにまで迫っていた。 雄夜は己の直感と言い知れぬ予感に従うかのように、黒衣の不審者を避けるようにして不審者の前を通り過ぎようとした。 そして遂に、不審者の目の前を通り過ぎた、まさにその時だった。 「ちょっと貴方」 今まさに通り過ぎた黒衣の不審者から、不意に声が発せられた。 織田雄夜の背中が一瞬にして氷つく。 それと同時に、頭の中に氷のように冷たいシャーベット状の物体がざらざらと入り込んでくるような感覚を覚えた。 それでも雄夜は雄夜自身の足を止める訳にはいかなかった。 ここで足を止めたら、確実に黒衣の不審者は自分に近付いて来る。 既に心が恐怖に支配されているのに、その元凶にまで近付かれては堪ったものではない。 それに、もしかしたら今の声は自分に対して投げ掛けられた物では無いかもしれない。 もしかしたら不審者の前を通った他の人かもしれない。 そんな風に自分勝手な解釈をし、雄夜は自分の気持ちを落ち着かせ、平静を装う。 まるで、始めから黒衣の不審者の声に気が付かなかったかのように歩き続ける。 そんな雄夜に追い討ちをかけるように、背後から先ほどと同じ声色が聞こえてきた。
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