梅雨、小雨の朝

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机の脇に鞄を掛け、席についた俺は朝の通過儀礼を済ませるべく後ろに体を捻った。 …よう、おはようさん。 「…。」 ハルヒは俺の言葉に耳を傾ける事なく、貧乏揺すりをしながら顰めっ面で窓の外を眺めている。 …今日も不機嫌そうだな。 するとハルヒは不機嫌な表情をそのままに俺の方を向いて言った。 「…こんなジメジメムシムシしてる時に機嫌がよくて元気な奴なんて居ると思うわけ?」 …すまん。俺は約一名知ってるぞ。 「…妹ちゃんって言いたいんでしょ?良いわよね小さい子って。何でも楽しみに変えちゃうんだから。」 確かにその通りだ。最近妹も連日泥だらけになって帰って来てお袋を困らせてるみたいだしな。大方水溜まりにバシャバシャ突っ込んで遊んでるのかもしれん。 「…何とかして雨を止ませる方法は無いかしら?今日みんなで『太陽を呼ぶ儀式』でもやってみる?そしたら晴れ間からUFOが…」 来ねーよ。…頼むから辞めてくれ。自然に逆らってもしょうがないだろうが。 「…何よ、バカキョンのくせに。」 …いつもはここで2、3発叩かれたりするのだが、今日はそれもなかった。ハルヒの元気を奪ってくれた雨に初めて感謝の気持ちを抱いた所で、岡部が入ってきたので俺達は前を向く。 いつもより比較的穏やかな2日間が、始まろうとしていた。
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