事の始まり

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「おい、キョン。これは一体どういう事だ?」 「今日の涼宮さん、やけに元気がないみたいだけど。」 そう思っているのは谷口や国木田だけではなかったようで、クラスの連中は珍しくのろのろと歩いていくハルヒを物珍しさと不審さとが8:2で混ざったような視線をハルヒに浴びせていた。 そりゃそうだ。最近までは不機嫌ですんでたのがいきなりゾンビ化だもんな。あんな姿のハルヒは激レアだ。二度と見れないかもしれんぞ。良かったなお前ら。 …なんて事は思わないし思えない。あいつが一度機嫌を悪くすれば走り回らなきゃ行けないやつがたくさんいる事を俺は知っている。 だがここ数日古泉からは閉鎖空間とやらが発生したとは聞いていない。これはハルヒが成長したと見ていいのかね。それともやっぱり梅雨がイライラもできないほどあいつの元気を奪っているのか… 多分後者だな。うん。 俺や国木田、バカの谷口までこの湿気と暑さでだらけているんだ。一応人の子であるあいつだって梅雨の影響は受けるさ。 …あいつだって人間なんだ。元気がない時位あるだろうよ。 「でもよ、あんなにブルーになってる涼宮は本当に気味が悪いな。」 それは俺も同意する。…お前の顔は普段から気味が悪いけどな。 「うるせぇ!そんな事言う奴は唐揚げを奪って反省させてやる!」 うわ、やめろこのオールバック野郎! 俺と谷口が箸でチャンバラをしている所に、何か考えていた様子の国木田が口を開いた。 「でもあの涼宮さんが暑くてジメジメしてるだけであんなに元気がなくなる事なんてあるのかな?涼宮さんって暑くなればなるほど元気になりそうな感じだよね。」 H2の主人公かよ。それはちょっと違うな…アイツの場合は暑かろうが寒かろうが一年中ぶっとんでる。 まぁ確かにイメージとしてはそうかもしれない。向日葵とかあいつにピッタリだ。ただし獲物が近づいたらバクっと一口で食ってしまう口付きの。 「それじゃなんで今日はあんななの?具合が悪いのかな?」 朝話した時にはそんな感じはしなかったが…。まぁあいつだってたまにはエネルギー切れを起こす事もあるって事なんじゃないか? いい事じゃないか。アイツが大人しければ世界は…少なくとも俺の心は平和でいられる。 「やめとけ国木田。触らぬ神になんとやらって奴だ。涼宮の事はキョン任せとけばいいんだよ。」
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