~序章~

2/7
前へ
/7ページ
次へ
この物語はまだ、物語として動き出す前のお話。 私の名前は松永茜、16年という人生を生きてきたけどまだ楽しみや喜びを、見いだせていない人。 だけど私の家庭は平均的な家庭に産まれ、普通の家族に育てられてきた。 むしろ私の方に問題があったのだろう。 小さい頃から人や物に興味や関心が無く、そのせいか友達と呼べる人などいなかった。 「…行ってきます…」 そう言っていつものように玄関の前の扉に挨拶をした。 父や母、妹はまだ、食卓の椅子に腰掛け朝食を食べているのだろう。 テレビから聞こえる、朝のニュースの音、朝の家族団らんの奏でられる音、耳障りでしかなかった。 もう家族は、私の事など見ていないのだろ。 私の後にはできの良い妹もいるようだし。 家族と話すのは必要最低限の言葉ぐらいなのだろうと思う。 それは、言ってみれば仕方のない事、昔は両親も精一杯、私に尽くしてくれたと思っている。 それでも私は、拒否した、無視をした、蔑ろにした。 私の何が、そうさせてのか 分からないし、考えたことなどなかった。  そんな気持ちのまま、私は重い玄関の扉を開けた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加