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この物語はまだ、物語として動き出す前のお話。
私の名前は松永茜、16年という人生を生きてきたけどまだ楽しみや喜びを、見いだせていない人。
だけど私の家庭は平均的な家庭に産まれ、普通の家族に育てられてきた。
むしろ私の方に問題があったのだろう。
小さい頃から人や物に興味や関心が無く、そのせいか友達と呼べる人などいなかった。
「…行ってきます…」
そう言っていつものように玄関の前の扉に挨拶をした。
父や母、妹はまだ、食卓の椅子に腰掛け朝食を食べているのだろう。
テレビから聞こえる、朝のニュースの音、朝の家族団らんの奏でられる音、耳障りでしかなかった。
もう家族は、私の事など見ていないのだろ。
私の後にはできの良い妹もいるようだし。 家族と話すのは必要最低限の言葉ぐらいなのだろうと思う。
それは、言ってみれば仕方のない事、昔は両親も精一杯、私に尽くしてくれたと思っている。
それでも私は、拒否した、無視をした、蔑ろにした。
私の何が、そうさせてのか 分からないし、考えたことなどなかった。
そんな気持ちのまま、私は重い玄関の扉を開けた。
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