絶望

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なるほど。冷水にふーふーか。なるほど。 「ご主人様、お口をあーんしてください」 メイドは、れんげで水をコップからかろうじてすくって、波平の顔の前まで持ってきた。 「あーん」 波平は口を開けた。 ボトボトッッ 「って、飲み物であーんはないだろ、あーんは」 水はこぼれた。 「ご主人様ごめんごめん。」 しかも、おもらししたみたいな場所に水をこぼされた。 「ご主人様、おもらしですか?」 「違う。お前が..」 「ご主人様、ふいてやるよ」 は? 「…こぼした水をか?」 「はい。」 メイドはそう言うとカウンターから汚い雑巾を持ってきた。 「お待たせいたしましたご主人様、雑巾です。」 べちゃっ 「おい、何考えてるんだ」 メイドが力いっぱい投げ飛ばした汚れた雑巾は、波平の顔面に直撃した。 「何考えてるって?うはは、ご主人様のことを考えてますがなにか?」 「…店員、態度が悪いぞ」 「は?てめぇに言われる筋合いねぇよ」 「俺は客、お前は店側だろ?客を不愉快にする権利はない」 「そうかもしれないけど、おっさん、そんなとこ濡れたままでよく言えるな」 店内が冷たい笑い声であふれた。 うははははは がはははははは はははははは 「なーみへーいがもーらした、なーみへーいがもーらした」 『なーみへーいがもーらした、なーみへーいがもーらした、なーみへーいが...』 なみへいがもらした コールは徐々にヒートアップしていった。 「わしはもらしてなんかおらん!」 「ははっ、超波モッコリじゃね?」 「ウケるぅ~ははははは」 「なーみもっこりー、なーみもっこりー、なーみもっこりー」 「やめろぉぉぉぉぉ」 波平は耳をふさいで めいど喫茶らぶ を後にした。 階段を登りきってからも地下からの波モッコリコールが聞こえるのは気のせいだろうか。 波平は怪しいところを水でぬらし、顔には泥のようなものをつけ、アーケードを後にした。
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