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「こんにちは。山菊清掃ですが、どうも。早すぎましたか?」
「どうもこんにちは。いやあ、すみません。ゴミだらけでね」
僕はバツが悪そうにつくり笑顔で愛想をまいた。
「立派に溜め込みましたなあ。鍵お預かりしてもいいですか?」
「ちょっとお待ちください」といってからキーケースを開いて家の鍵を外した。鍵を清掃員に渡す。
清掃員は家の鍵を受け取ると、作業着の胸ポケットに大切そうに入れた。
「清掃終了予定は明後日の金曜日です。終了後は施錠しますので、鍵は店まで取りに来てください」
「金曜の夕方、三時過ぎに帰ってきますんで」
「あっそうかそうか、そうですね。確か今から旅行に行かれるんでしたね。じゃあ鍵はそのときに」
「何かあったら電話下さい。では、お願いします」
僕は頭を下げてから玄関を出て車を走らせた。路上駐車していた清掃のトラックが、入れ替わりに駐車場に進入していく様子がサイドミラーにチラリと映った。
国道を南下して高速道路に乗り、約一時間走ってからサービスエリアに車を停めた。
降りて自販機でコーヒーを買い、屋台でフランクフルトを買う。
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