セキセイインコ

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 白いタイルが敷きつめられていて、先客が二人いた。大浴場というわりには狭く、部屋にあった先程の穴みたいな和式便所のような、白いタイル張りの円形浴槽が縦にずらりと並び、浸かるとまるで水洗トイレの中に溜まる水に浸っているような気分になる。  しばらくすると僕は気分が悪くなり、その浴槽から出た。  そういえば昔、風呂に入ろうとして円形の巨大な便器に入った夢を見た記憶がある。  そこには無数の巨大な円形の便器があり、その底はすべて繋がっていた。最深部の筒を抜けると屋外のプールに出て、みんなが僕を汚いものでも見るような顔をしていた。 「そこから出てきたらあかんで、逆流やで逆流」 「仕方ないやん、流れてに乗ってたらここに出てきたんやし」 「汚れはあっち行け」  顔を思い出せないが、誰かにそういわれて僕はプールの底に潜り、水路を抜けて巨大な円形の便器からあがったのだった。  便器のような風呂からあがり更衣室で服を着ると、僕は入り口傍の自販機でビールを買いその場で一気に飲んだ。  次に僕は食券を取りに部屋に戻り、冷水器で一口水を飲んでから二階のバイキング会場へ向かった。
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